1.はじめに
今日は花の日です。子どもたちと一緒に礼拝を守っています。今日は、聖書に出てくる二人の人、パウロさんとダニエルさんについて見ていきたいと思います。
2.イエス様の救いを伝えたパウロさん
イエス様の救いの恵みを伝えた人にパウロという人がいます。パウロさんは、新約聖書にあるローマの信徒への手紙とかフィリピの信徒への手紙とか、たくさんの手紙を書いた人です。これらの手紙は、パウロ自身が以前にイエス様の救いの恵みを伝えた人たちのために書いたものです。今読んだコリントの信徒への手紙二も、パウロさんが伝道したコリントの教会の人たちに宛てて書いた手紙です。
パウロさんは、イエス様のことをたくさんの人に伝えたのですけれど、それはとてもとても大変なことでした。パウロさんが、「イエス様はわたしたちのために十字架に架かり、わたしたちの代わりに神様の裁きを受けられました。そして、三日目にイエス様は復活されました。だから、イエス様を信じる人は神様の子とされ、復活の命、永遠の命に生きるようになります。」そう伝えますと、それを信じる人もいましたけれど、「そんなの嘘だ。」と言って反対する人もいました。そして、反対する人の中には、「そんなでたらめなことを言ってみんなを惑わせるような奴は許せない。パウロを捕まえて殺してしまおう。」と言う人までいました。
ですから、パウロさんがイエス様の救いの恵みを伝えるのは、とてもとても大変なことだったのです。みんながイエス様のことを信じてくれれば楽なのですけれど、なかなかそうはいきません。反対する人やパウロをやっつけようとする人も出てきました。一つの町でイエス様のことを伝えると、反対する人たちがパウロさんを捕まえようとして大騒ぎになって、パウロさんたちは次の町へ逃げていく。そこでイエス様のことを伝えていると、反対する人たちが追いかけてくる。またパウロさんたちは逃げる。そんなこともありました。そして、パウロさんは牢に入れられたこともありましたし、鞭で打たれたこともありました。石を投げつけられたこともありましたし、たくさんの人たちに囲まれてしまって、もう逃げられない、そんな時もありました。でも、パウロさんはいつも不思議なように助かりました。それは、神様がパウロさんを守ってくださったからです。
パウロさんは、何度も大変な目に遭いました。でもその度に、神様によって助けていただきました。そして、分かったのです。「神様はわたしを守ってくださり、救ってくださった。守ってくださった。だから、これからも神様はわたしを守ってくださるに違いない。わたしだけじゃない。イエス様を信じる人は、神様が必ず守ってくださる。神様は、十字架の上で死んだイエス様を復活させてくださった。その力、その愛で、わたしをすっぽり包んでくださっている。だからわたしは牢に入れられても、鞭で打たれても、石を投げられても、人々に取り囲まれても助かってきた。これからもわたしは大丈夫。」パウロさんは、「大丈夫なのはわたしだけじゃありません。あなたも大丈夫です。だから、神様を信頼しましょう。」そう伝えました。
3.言葉と出来事をもって
神様は見えません。手で触ることも出来ません。でも、たくさんの人が神様を信頼して生きてきました。私も信じています。どうして神様を信じているのか。どうして神様を信じられるのか。そう思う人もいるかもしれません。
神様は二つの仕方で、わたしたちが神様を信じることが出来るようにしてくださいます。一つは、言葉です。聖書の言葉によってわたしたち一人一人に語りかけておられます。この聖書の言葉は、「本当に神様は生きて働いてくださり、わたしを守り、救ってくださる方だ。」ということを知らされた人が書いたものです。「わたしはこんな風に神様に守ってもらった。救ってもらった。だから、あなたも守ってもらっている。救ってもらえる。」そう、わたしたちに語りかけています。
もう一つ。それは、神様は出来事をもって、わたしたちが神様を信じることが出来るようにしてくださいます。神様は本当に生きて働いておられる方で、天と地のすべてを造り、イエス様を死人の中から復活させた方です。神様はその力で、出来事を起こされます。そして、「わたしはあなたを愛しているよ。わたしはあなたを守っているよ。」そうわたしたちにはっきり示してくださるのです。
4.王様に仕えたダニエルさん
さて、先程、旧約のダニエル書6章を読みました。みなさん、ダニエルさんの名前は聞いたことがありますか。ダニエルさんは、イエス様が生まれるより550年くらい前の人です。神の民であるユダヤの民は、神の民なのに神様を信頼することが出来ず、その結果、バビロニアという国に滅ぼされてしまいました。そして、多くの人がユダヤからバビロンに連れて行かれてしまいました。バビロンはユダヤから千qも離れています。富山から東京よりもずっと遠いです。その後、バビロニアはペルシャに滅ぼされました。ダニエルさんはその時代のユダヤ人です。
ダニエルさんはペルシャの王様に仕えていました。ダニエルさんは神様を愛し、神様を信頼し、毎日神様にお祈りをしていました。ダニエルさんは、神様の恵みによって大変優れた知恵を与えられていた人でした。ペルシャはその頃、世界で一番大きな国でした。王様は、国がとても広いので、120の県に分けました。そして、それぞれの県に総督を置きました。120人の総督です。そして、その上に三人の大臣を置きました。ダニエルさんはその三人の大臣の内の一人でした。王様はダニエルさんが大変優れているので、三人の大臣の中でも特に信頼しました。ですからダニエルさんは王様の次、ペルシャの国の2になりました。そうすると、「ダニエルはユダヤから連れて来られた奴ではないか。それなのに王様に気に入られて、わたしたちより偉くなっている。面白くない。どうにかしてダニエルをやっつけることは出来ないか。」そんなことを考える人が出て来たのです。何ということでしょう。そして、その人たちはダニエルさんが何か失敗をするのを待ちましたけれど、なかなかダニエルさんは失敗しません。悪いことをするのを見つけて王様に言いつけてやろうと思いましたけれど、ダニエルさんは少しも悪いことをしません。それで、一つの罠を考え出しました。
彼らは王様にこう言いました。「王様、これから30日間、人であれ、神様であれ、王様以外のものに願い事をする者は、ライオンの洞窟に投げ込まれることにしましょう。そうすれば、このペルシャでは他の誰よりも王様が一番偉いということがはっきりします。」王様は自分が一番偉いことがみんなに分かるということは良いことだと思い、それを法律にしました。
5.ライオンの洞窟でも守られたダニエルさん
さて、ダニエルさんは家に帰ると、いつものように神様に祈りを捧げました。さあ大変です。「ダニエルは王様が出した法律を破って、王様以外のものに祈ったぞ。」見張っていた役人たちがダニエルさんの家にやって来て、ダニエルさんを捕まえました。王様はダニエルさんを大変気に入っていましたので、何とか助けたいと思いましたけれど、自分が出した法律を自分で破ることも出来ません。ダニエルさんは、ライオンがたくさんいる洞窟に投げ込まれてしまいました。
王様はその夜、少しも眠れず、夜が明けるとすぐに、ライオンの洞窟に行きました。洞窟は大きな石で蓋がしてありました。「ダニエルはもうライオンに食べられてしまったに違いない。」と思いましたが、王様は洞窟に向かって、「ダニエル、ダニエル。」と呼びかけました。するとどうでしょう。洞窟の中から「王様。」とダニエルさんの声がするではありませんか。そして、「神様が天使を送ってライオンの口をふさいでくださいましたので、わたしはなんの危害も受けませんでした。」と言ったのです。王様はびっくりして大喜び。石を取り除けてダニエルさんをライオンの洞窟から引き出すように命じました。ダニエルさんは助かったのです。
どうしてダニエルさんはライオンに食べられてしまわなかったのか。ライオンがお腹をすかせていなかったからではありません。神様がダニエルさんを守ってくださったからです。でも、どうしてダニエルさんは、王様以外にお願いしてはいけないと法律で決まったのに、いつものように神様にお祈りしたのでしょうか。捕まってライオンの洞窟に入れられることが分からなかったのでしょうか。いいえ、ダニエルさんは知っていました。でも、ダニエルさんは神様にお祈りしました。それは、いつもそうしていたからというだけではありません。ダニエルさんは、ライオンよりも神様の方が強いことを知っていたからですし、神様を信頼していたからです。神様を信頼していれば、神様が守ってくださるということを信じていたからです。
ダニエルさんが愛し、信頼し、祈っていた神様は、天と地のすべてを造り、イエス様を死人の中から復活させた方です。わたしたちも信じている神様です。神様は、ダニエルあんをライオンから守ってくださったように、わたしたちをいつも守ってくださっていますし、これからも守ってくださいます。
6.へっちゃらじゃないけれど
今日の説教の題は「神様の確かな守り 〜ライオンだってへっちゃら〜」としました。でも、ちょっと違うかな、と反省しています。だって、私は「ライオンだってへっちゃら。」とは言えないからです。ライオンどころか、カエルだってダメですから、「ライオンだってへっちゃら。」とは、とても言えません。自分がライオンのうようよいる洞窟に入れられるなんて、ギャーッて思います。ライオンどころか、カエルだって、蛇だって、虫だって、そんなものがうようよいる洞窟はギャーッです。
でも、こうも思います。嫌なこと、辛いこと、悲しいことがあっても、神様に信頼してお祈りすれば、パウロさんやダニエルさんを守られたように、きっと神様は私を守ってくださる。でも、そういう時になって急にお祈りしようとしても、なかなか出来ないでしょう。だから、いつもお祈りしていよう。そう思います。
7.神様の守りは完全
そして、最後にもう一つ。神様を信頼してお祈りしていても、事故に遭わない、病気にならない、とは言えません。歳を取れば色々な所が痛くなりますし、体のあちこちが悪くなってきます。悲しいこと、辛いこともあります。でも、イエス様がわたしたちに与えてくださると約束してくださった永遠の命、復活の体は、わたしたちのこの肉体がダメになっても、少しも損なわれることはありません。わたしたちは必ず、これを受け取ることになります。神様の守りと導きは、やがてこの永遠の命を与えてくださるという所において、少しもぶれること無く完全なのです。この完全な神様の守りの中で、わたしたちは一日一日を生かされているのです。
みなさん、天におられる神様を見上げましょう。目を上げただけなら天井しか見えません。だから、目をつぶって、天におられる神様とその右におられるイエス様を思ってみましょう。どうでしょうか、神様もイエス様も輝くばかりの栄光に包まれているでしょう。わたしたちはその栄光を受けることになっているのです。何と素敵なことでしょう。そこに向かって、わたしたちは完全に確実に守られています。この神様の守りを破ることは誰にも出来ません。どんな強い力も、どんなに悪い人でも、そして私たちの肉体の死によってもです。だから、安心して天の国を目指して歩んでいきたいと思います。
[2018年6月17日]
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